CentOS7サポート終了と移行先問題について考える

「SAVACAN」担当のMKです。
スペース・アイでインフラ管理をして13年になりました。

今回は初めて書く記事でRedhatとRockyLinuxとAlmaLinuxについて考えてみたいと思います。

CentOSを使用している企業は2021年から、
 ・CentOS7のサポート期限が2024年6月30日に切れる
 ・今までのCentOSが廃止される
という問題について検討を重ねてきたことと思います。

弊社でもCentOS7を利用していたため移行先について検討し、現在はAlmaLinux8への移行作業中です。

目次

CentOSとはどのようなOSだったのか

CentOSは有償のRedhatと互換性があるフリーのOSとしてWebサイト向けLinuxのシェアで約8%(Redhatは約1%)と本家Redhatを超えるシェアを誇るOSです。

情報が豊富で安定稼働するため弊社でも構築した90%のサーバーでCentOSを採用しています。

なぜCentOSは廃止するのか?

Redhatは元々CentOSを支援していました。無償版を入口に技術サポートのないCentOSから技術サポートを受けることができる有償版のRedhatへの移行を計画していたと思われます。

個人的な想像も入っているかもしれませんが、CentOSからRedhatへの移行ユーザーが少なかったことからCentOSを終了し、CentOS StreamというRedhatのベータ版の位置付けのOSとして残すことになったと言われています。

開発段階であるベータ版で商用サービスを運用するのはリスクがあるため、CentOSを採用していた企業は一斉に移行先のOSを検討することになったのです。

移行先候補となるOSは何があったのか?

移行後の安定稼働を考えると移行先OSはCentOSと同じくRedhatと互換性のあるOSから選びたいところです。

弊社では有力なCentOS移行先として、
 ・AlmaLinux
 ・Rocky Linux
 ・Redhat
の3つを候補として検討しました。

弊社で2022年にAlmaLinuxとRocky Linuxの有力クラウドでの提供状況を確認したところ、
海外クラウドではaws marketplace AMI、GCP Marketplace、Azure
国内クラウドではIDCF、さくらのクラウド、GMOクラウド ALTUS、IIJ GIO
でOSが提供されていたことを確認しました。

Rocky LinuxとはどのようなOSか

Redhatとバグまで含めた100%の互換性を持つように設計され、コミュニティによって開発されています。RedhatのCentOS開発終了を受けてCentOSの初代創設者であるGregory Kurtzer氏が立ち上げました。

こちらがRocky Linuxのロゴです。
初回安定版リリースは2021年6月21日でした。

・Rocky Linux公式サイトはこちら
https://rockylinux.org/ja/

Rocky Linux8サポート期間:2029年5月1日
導入費用:使用料は無料

AlmaLinuxとはどのようなOSか

RedhatのCentOS開発終了を受けてCloudLinux OSを開発しているCloudLinux社が、現行バージョンのRHELとのバイナリ互換性を目標に、コミュニティにより維持されたCentOSの精神的後継としてAlmaLinuxを開発しました。

こちらがAlmaLinuxのロゴです。
初回安定版リリースは2021年3月30日でした。

・AlmaLinux公式サイトはこちら
https://almalinux.org/ja/

AlmaLinux8サポート期間:2029年まで
導入費用:使用料は無料

RedhatとはどのようなOSか

最後にRedhat系OSのベースとなっているRedhatです。
IBM子会社で、LinuxディストリビューションのRed Hat Enterprise Linux(略してRHEL)を販売・開発・サポートし商用Linuxの代表格です。

Redhatをベースにした代表的なOSにはCentOS、CentOS Stream、Oracle Linux、AlmaLinux、Rocky Linux、MIRACLE LINUXなどがあります。
こちらがRedhatのロゴです。
初回安定版リリースはRed Hat Linux 6.2Eで2000年3月27日でした。

・Redhat公式サイトはこちら
https://www.redhat.com/ja/global/japan

Redhat8サポート期間:2029年5月31日(延長サポートは2032年5月31日)
導入費用:有料サブスクリプションによる提供

※2021年1月20日のアナウンスにて、開発用途限定で16システムまでは無償利用可能との事

Redhat系OSの年表

CentOS終了辺りのRedhat系のOSの動きの年表を見てみましょう。

2014/01/08 RedhatがCentOSのスポンサーに
2019/07/09 IBMがRedhatを買収
2020/12/08 RedhatがCentOSの開発を中止しCentOS Streamに一本化
2021/03/30 AlmaLinux 8.3リリース
2021/06/21 Rocky Linux 8.4リリース

スペース・アイはなぜAlmaLinux8を採用したのか

弊社でのOS選定基準は、
(1)低コストであること
(2)10年を目安とした長期サポートの提供があること
(3)提供速度と信頼性があること
(4)CentOSと同様にRedhatクローンなディストリビューションであること
を重点に検討しました。

それぞれの選定基準について検討結果を説明していきます。

(1)現行サーバをRedhatへ移行した場合、ランニングコストが高額となり現在の価格でのインフラ提供が難しくなるため、Redhat以外のOSで継続提供する方法を検討しました。

(2)サポート期間の観点で検討すると、
 AlmaLinux8は2029年まで
 Rocky Linux8が2029年5月1日まで
とどちらもおおよそ同じサポート期間でした。

(3)AlmaLinuxとRocky LinuxどちらもRedhatリリースから約1週間を目途に提供されており、提供速度面においては十分と判断しました。信頼性に関しては、開発コミュニティの発表や開発ポリシーを吟味して判断しました。最終的には長期に観察しての判断が必要かと考えています。

(4)AlmaLinuxもRocky LinuxもRedhatをベースに開発されており、自社内検証にて運用上の問題が無い事を確認しました。

弊社ではAlmaLinuxとRocky Linuxを両方動作検証して比較したうえで、企業がコミュニティの立ち上げと支援を行っており、長期の安定運営が見込めそうなAlmaLinuxで進めることにしました。しかし、万が一 AlmaLinuxの提供が滞った場合にはいつでもRocky Linuxへ移行できるように、Rocky Linuxの検証・確認作業は継続して行っていく予定です。

最後に、2023年5月22日には、ソフトバンク・テクノロジーの子会社で、日本製Redhat系OSであるMIRACLE LINUXを開発しているサイバートラスト社がAlmaLinuxのプラチナスポンサーとなり(プラチナスポンサーはCloudLinux社とサイバートラスト社の2社)、AlmaLinuxの次期バージョン10から共同開発体制に移行するとの発表がありました。
サイバートラスト社は国内企業で、有償サポートも提供していますので、いざというときに国内企業のサポートが受けられる安心感があります。AlmaLinuxを盛り上げてほしいと期待して、今後の開発の励みにしていきます!

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